糖尿病内科
糖尿病内科

2型糖尿病は、次のような人に起こりやすいことがわかっています。
糖尿病早期に治療を始めた場合、食事療法と運動療法で「寛解(かんかい)」という糖尿病が治った状態になることがあります。しかしながら、ほとんどの場合は、治療を始める段階で、すでに糖尿病が完成しており、寛解になることは難しいと考えられています。治すことができないならば、どうすれば良いでしょうか?
糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害という三大合併症や血管合併症(動脈硬化症、脳梗塞、狭心症・心筋梗塞)を起こさないよう、または病状の悪化進行を予防することが糖尿病治療の大きな目標になります。合併症を悪化させずに、現在の健康状態をなるべく保ち、生活の質を落とさないように、うまく糖尿病と付き合っていくことが大切になります。
さらに、他の病気の治療するとき、今の血糖コントロール状況により、治療できないことがあります。たとえば、血糖コントロールが不良の場合、悪性腫瘍が発見され検査や手術をしたいときや、白内障の手術をすぐ受けたいときなどに、血糖治療が優先され、検査や手術が遅れることがあります。
治療の基本は、食事・運動療法、薬物療法です。忘れてならないのは、薬による治療や注射による治療中の方であっても、日常生活の中での食事と運動療法が大切になります。
ご自身でただ気をつけるだけでは十分な効果が現れない場合もあります。当院では医師、療養指導看護師、管理栄養士が、食事療法や運動療法の生活アドバイスをさせていただきます。
薬による治療では、患者さん個々の病状・病態や糖尿病段階に合わせて、内服薬治療や注射治療(GLP-1受容体作動薬、インスリン注射の導入)を行います。
まずは患者さんのライフスタイルやご希望をお聞きしながら、治療を提案させていただきます。注射治療に進む場合であっても、可能ならば1日1回の注射や週1回の注射など、負担を感じることなく治療を強化できる方法を提案したいと考えています。外来でのインスリン導入や血糖自己測定を開始する際は、療養指導看護師が指導サポートいたします。
血糖値を下げるために、すい臓からインスリンが分泌されて、血糖値が下がります。1型糖尿病では、すい臓がインスリンをほとんど、またはまったく作ることができなくなります。インスリンを継続的に注射しなければ、血糖値がぐんぐん上がっていき、脱水や意識障害など具合が悪くなります。このため、治療にはインスリン注射がかならず必要になり、飲み薬では血糖値を十分に下げることができません。
糖尿病の患者さんのうち、1型糖尿病は日本の場合、数%くらいと言われています。
2型糖尿病は、中年以降に発症することが多いのですが、1型糖尿病は、赤ちゃんから高齢者まで年齢に関係なく発症が見られます。
インスリンポンプ療法では、毎食ごとの皮下注射は不要であり、ボタン操作により容易にインスリン注入投与が可能であるメリットがあります。関心のある方、また希望の方は申し出ていただきましたら、相談させていただきます。
2型糖尿病と比較すれば圧倒的に若い年齢層で発症する方が多いです。ですから、進学、就職、結婚、月経、出産・妊娠などの生涯イベントの機会ごとに、治療方法や生活注意、心構え、配慮、サポート体制について、相談をします。
糖尿病の初期においては、健康診断などで尿に糖がでている、血糖値がやや高いと指摘されることがあっても、そのころはまだ自覚症状のない方がほとんどです。
この状態を数年放置すると持続的な高血糖によって全身の血管が障害され、糖尿病による合併症が進行し、症状が出現することがあります。
おもに全身の細い血管が障害されて症状が起こります。いずれも初期には自覚症状がないため、定期的な検査が必要です。
三大合併症の中で最も早く出ることが多い症状です。手足のしびれ、両足裏の違和感、怪我や火傷の痛みに気づかない等、手足の末梢神経障害の症状が出ます。
そのほか筋肉の萎縮、筋力の低下や便秘、下痢、胃もたれ、発汗異常、立ちくらみ等、様々な自律神経障害の症状も出ます。
眼球裏面にある網膜の血流が悪くなり、新しく血管ができます。この血管は破れやすく、出血すると視力が低下します。重症化すると失明する場合もあります。また、白内障になることも多いといわれています。
眼科で定期的な眼底検査、また合併症を早期に発見し加療することで失明への進行を阻止する必要があります。
腎臓は、尿を作り、老廃物を外に出す機能があります。腎臓の毛細血管の血流が悪くなると、徐々に腎臓の機能が悪くなります。尿検査で、アルブミン尿あるいは蛋白尿、血液検査などで腎症の進み具合を評価します。適切な治療をせずに腎症が進行すると、腎臓の機能が低下し(尿が作れなくなる)、腎不全の状態になります。老廃物が外に出ず、逆に大切なタンパク質が尿から外に出てしまいます。老廃物が貯まり、水分の調整ができなくなるので、人工透析という腎臓の代わりとなる治療を行います。人工透析が必要になる病気はたくさんありますが、原因の1位がこの糖尿病腎症です。
脳梗塞、脳卒中、心筋梗塞、皮膚病、感染症、下肢閉塞性動脈硬化症、悪性腫瘍、認知症など。
当院では、胸部レントゲン、心電図、CAVI(血管年齢測定)、便潜血検査なども必要に応じて行います。